質問箱

カリフォルニアロケットはうつに良いの?

【質問No17】

カリフォルニアロケットという2種類の抗うつ薬を組み合わせる強力な治療法があると聞きました。この治療法はとても効果があるのでしょうか?興味があります。

【回答】

カリフォルニアロケットとは2種類の抗うつ薬であるミルタザピンとSNRI、もしくはSSRIを併用する治療法のことを言います。脳内のモノアミンであるセロトニン、ノルエピネフリン、ドパミンを増やすことで強力な治療効果を期待され使われております。

ではこの治療法が従来の治療法に比べて効果があるのかと言われるとまだ結論は出せないと言うのが実情かと思います。

BMJに報告された有名な研究があります。イギリスの4施設(Bristol、Exeter、Hull、Keele/North Staffs)と106のクリニックで行われた研究です(Kessler 2018)。

抗うつ薬SSRIまたはSNRIで治療されているものの症状が遷延しているうつ病の方480人をミルタザピン追加群(241人)とプラセボ(偽薬)追加群(239人)に振り分け経過を追っています。その結果、12週目でうつ病の評価尺度はミルタザピン群で下がったものの統計的には有意ではなくカリフォルニアロケットの方が明らかに有効であるとは言えない結果でした。

ただ、アメリカで行われた別の研究では大きくカリフォルニアロケットが有意であったと言う報告もあります。エビデンスレベルの高い二重盲検試験では治療抵抗性のうつ病の方26人をミルタザピン追加群かプラセボ(偽薬)追加群に振り分け4週間の経過を追っています(Carpenter 2002)。その結果、ミルタザピン追加群64%、プラセボで20%と大きくカリフォルニアロケットが有効だとされています。

Rushらの研究では中等度以上のうつ病の方665人を12週間追ったところ、カリフォルニアロケットは有意に単剤療法に比べて効果があったとはなりませんでした(Rush 2011)。

別の研究ではうつ病患者105名を4群に割り振って4週間追ったところ寛解率(HAM-Dスコアが7以下と定義)は、SSRI25%、ミルタザピン+SSRI52%、ミルタザピン+SNRI58%、ミルタザピン+ブプロピオン46%でした(Blier 2010)。

他にはうつ病61人が、ミルタザピン、SSRI、または両剤の併用療法に無作為に割り付けられた研究があります(Blier 2009)。28日目、35日目、42日目のうつ病のスコアの低下は、単剤治療群と比較して併用療法群で有意に大きかったという結果でした。

6週目の寛解率は、ミルタザピン群で19%、SSRI群で26%、併用群(カリフォルニアロケット)で43%でした。

ちなみにカリフォルニアロケットではないですが、もう少し抗うつ薬の幅を広げて元来の抗うつ薬(SSRI,SNRI,三環系抗うつ薬)にα2自己受容体への作用薬(ミルタザピン、ミアンセリン、トラゾドン)の2種類の抗うつ薬の組み合わせは他の組み合わせの治療よりも有意に効果があったというメタ解析の結果も出ています(SMD 0.47; 95% CI 0.24 – 0.71:Henssler 2016)。

これらから、現状では研究によって結果が割れており、はっきりとは結論が出せないような状況なのではないかと思います。大規模研究だとどうしても個々の患者さんの性質や個人差を見れない傾向にあるため、ひとりひとりに合った治療法を模索していく必要があるので試してみて効果があれば良し、無ければ止めるといった方法が現時点での限界でしょうか。

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