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自殺しやすいうつ病の方の特徴は?

質問No19:自殺しやすいうつ病の特徴は?

うつ病で自殺する人が多いと聞きます。自分の子供も24歳でうつ病で通院しています。自殺をするのではないかと心配しています。うつ病の中でも自殺をしてしまう人とそうでない人の何か違いのようなものはありますか?

回答

うつ病の方は自殺の危険性があるので慎重に経過をみないといけないという話はよく聞くと思います。しかし、ではどういう人がその中でもよりリスクが高いの?という話はそこまで聞いたことはないかもしれません。ここで昨年報告された興味深い研究があるので紹介します(Eikelenboom 2019)。

まずこれまでは次のような方が自殺のリスクが高いのではないかと言われています。

若年期(Bolton 2008)、低所得(Bolton 2008)、パートナーの欠如(Sokero 2005)、幼少期の虐待(Molnar 2001)、喫煙(Oquendo 2004)、違法薬物の使用(Bolton 2010)、アルコール乱用(Sokero 2003)、何らかの身体的な慢性疾患(Duggan 1991)、性格的特徴(Oquendo 2004)

実際そうなのか、他に要因はないのかという点を大規模かつ追跡調査で行った研究がオランダで行われました。これは、1713名のうつ病の方を6年間前向きに追跡したものが最近報告されました(Eikelenboom 2019)。これだけの人数を前向きで追った研究は少ないので非常に貴重なデータです。

1713名のうち58名の方が自殺企図を行いました。割合として3.4%ほどになります。

このうち、自殺企図を起こしたうつ病の方は重症度が高く、過去にも自殺をしようとしたことがある、最近死にたいという思い(希死念慮)があったという点がまずあります(これはやや当たり前のような気もしますが、当たり前のことをデータで示すことも非常に大切ですね)。症状として特に目立つのは不眠がある人です。不眠があれば要注意でしょうか。それ以外には収入が低く、教育年数が短く、喫煙者が多く、無職、ひとり暮らしなどで孤独であるという特徴がありました。

また、性格傾向としては情緒不安定で衝動性が高いという性格傾向(NEOで測定)があることがわかりました。また内向的で協調性がないという性格もややリスクがあるという結果です。

これらは先述の研究とも大きくずれてはいないですね。

ちなみに上記のリスクが何もない人で自殺企図をした人はいなかったそうです。これらの項目が複数当てはまるうつ病の人は要注意です。

ここで興味深いのは喫煙者です。喫煙と自殺との関連は他の研究でも多く示されています。攻撃性や衝動性の高い性格の場合、喫煙率が高くなるという報告があるので性格が関連しているかもしれません(Oquendo 2004)。

他にも希死念慮についても過去の研究とは結果が分かれています。このオランダの報告では最近の希死念慮は自殺企図のリスクになるとされていますが、過去のいくつかの研究では希死念慮は自殺企図と関連しないとされていますBolton 2010; Holma 2010)。ここで議論されているのは生涯における希死念慮の有無ということでした。

なので、ずーっと死にたい、死にたいと言っている人は実際に自殺するリスクは低く、ここ最近急に死にたいと言い出した人は危険だよということでしょうか。

あと注意点ですが、ここでは抗うつ薬を使用している場合自殺のリスクが高いとされていましたが、そもそも重症度の高い人は抗うつ薬使うしなと様々な要因が絡んでいそうなので参考程度かなと思いました。

最後に自殺一般についての最近の話題についてまとめた記事です。↓

最近の自殺の話題についてAJPの10月号で自殺特集が組まれており、その特集にコロンビア大学のJohn Mannの総説が載っておりました。その最新の総説ということで現在の自殺についてはどこまでのことがわかっているのかを知ることができると思うので簡単に紹介します。...

 

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