精神医学情報

抗うつ薬がコロナ感染の重症化を抑えてくれる?1

昨日、コロナと精神疾患の関連について書きました。

コロナ(COVID-19)感染による精神への影響について実際、私の外来や入院病棟でもコロナが影響と思われるような患者さんが増えているような感覚はあります。精神疾患の受診者は増え、自殺者も増えているということから感染後のサポートも重要そうです。...

今回はそれに続きコロナについてですが、抗うつ薬との関連に関して面白い論文が11月12日のJAMAに出ていたので紹介です(Lenze E 2020)。

コロナ(COVID-19)感染の症状悪化は軽度から中等度の症状が現れてから8~10日以内に起こることがほとんどであると言われていますが、抗うつ薬SSRIのひとつであるフルボキサミン(商品名ルボックス)が症状の悪化を抑える作用があるのではないかという話があります。

元々抗うつ薬のひとつであるフルボキサミンはシグマ1受容体に親和性の高い拮抗薬であることが知られていました。また、シグマ1受容体とはサイトカインの調整に関与しており、重篤な感染症の敗血症時の炎症反応を減弱させるという動物での報告があります(Rosen DA 2019)。

そこで、この研究では、152名(35歳から58歳)のPCRでコロナ感染と診断された方をランダムに2群(フルボキサミン群とプラセボ群)に分けて15日間追ってどちらが重症化しやすいかを見ています(二重盲検なので参加者もどちらを飲んでいるかわからないようにしています)。

重症化の目安としては、呼吸困難などでの入院や酸素飽和度が92%を切るかというところをみています。フルボキサミン群では最大100mg1日3回投与しています。

あ、ちなみにプラセボ群は15日の試験後に希望があればフルボキサミンを内服してもらっています。フルボキサミンを飲みたいから試験に参加してたかもしれないですしね。

その結果、フルボキサミン群では80例中0例、プラセボ群では72例中6例(8.3%)に症状の悪化が認められました。ちなみに悪化した方は、6 例中 4 例が4 日から 21 日ほど入院、1人が10日間の人工呼吸器を必要として、死亡した方はいなかったようです。

結論として、COVID-19の外来患者さんを対象として15日間追ったこの予備的な研究では、フルボキサミンを投与された患者はプラセボ群と比較して症状の悪化は少なかったという結果となりました。ただ、サンプル数が少ないことや15日と短いことから大規模で長期間追った試験が今後必要でしょうとしています。

ちなみになぜフルボキサミンが重症化を抑える作用があるのかについては諸説あるようです。シグマ1受容体を介する抗炎症作用(サイトカインの減少)やオートファジーに対するIRE1効果の調節が主でしょうか。なのでどの抗うつ薬でもいいというわけではなさそうですが、仮説のひとつとしてSSRIとしての抗血小板作用などもあるようなので他の抗うつ薬SSRIもどうなのか気になるところです。

興味のある方は下記の元論文も是非読んでみてくださいね。

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