rTMSという薬を使わない新しい治療法があると聞きました。これは双極性障害(躁うつ病)のうつ状態にも効果があるのですか?うつ病の治療は薬なども含めて双極性障害では躁状態になるリスクがあり使えないものも多いです。rTMSがひとつの選択肢になればいいですが
rTMSとは反復性経頭蓋磁気刺激療法と言われています。
実施方法としては、主に脳の左背外側前頭前野に対して高頻度の刺激(10Hz)を行い、それを5週間前後で計2-30回ほど行うといった治療です。
これは主にうつ病に有効として現在行われています。

では、ご質問の双極性障害(躁うつ病)のうつ状態に対して効果があるのかについての返答です。
これについては、まだまだ報告数が少なくガイドライン上でも推奨はされていません。というのが答えです。
ただ、それだけでは、え?いいの?悪いの?とわからないため現時点でどういう状況かなのをみていきます。
ただ、双極性障害のうつ状態に対するメタ解析での報告はあります(T Nguyen 2020)。
ここでは、145名の双極性障害のうつ状態に対してrTMSでの刺激を施行、129名に対し擬似の刺激を施行したメタ解析です。
その結果、rTMSの双極性障害のうつ状態に対する有効性(145名のうち78名で症状改善。53.8%)はプラセボ(129名のうち48名が症状改善。37.2%)よりも優れていることが示されました(OR = 2.72、95%CI:1.44-5.14)。
この結果からは、双極性障害のうつ状態にも有効である可能性があることがわかります。
ただ、報告数が少ないので結果が変わることもあり得ますし、躁転のリスクなどについては明記されていなかったため、そこら辺は慎重に判断した方がいいかもです。