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抗うつ薬は太りますか?

質問No24:抗うつ薬は太りますか?

先日病院でうつ病と言われ、休養して症状が改善しなければ抗うつ薬の開始も検討すると言われました。前から精神科の薬は怖いなと思っていて色々と調べてみると抗うつ薬は太るという情報がありました。これは本当ですか?もし太るならなるべく使いたくないのですが。

回答

抗うつ薬が太るかどうかは気になりますよね。

基本的に薬の種類によるところは大きいのですがミルタザピン(リフレックス)は太りやすいと言われ、それ以外の薬はそこまでではないのではないかということが結論です。

うつ病の場合は痩せ過ぎも良くないですが、太ることも気をつけた方がいいです。

特に肥満となると多くの病気のリスクがあります。例えば、肥満によって起こる病気としては糖尿病Ⅱ型、変形性関節症、高血圧、冠動脈性心疾患です。その他の関連疾患としては、虚血性脳卒中、腰痛、睡眠時無呼吸、不妊症などがあります。

統合失調症などに使う抗精神病薬は体重増加について多くの情報がありますが、実は抗うつ薬については情報が多くありません。

数少ない報告のひとつで抗うつ薬の体重増加に関する大規模な研究があるので紹介します。この研究はキングスカレッジロンドンで行われ、2018年にBMJに報告されたものです(Gafoor 2018)。

2004年から2014年までの間に一般診療所に登録した20歳以上の患者さん約29万人の方を対象とし、10年ほど追跡し5%以上の体重増加と抗うつ薬の使用との関連を見ています。

この29万人のうち、5万3千人(18.0%)が研究開始の最初の暦年に抗うつ薬を処方されていました。抗うつ薬を使用していない24万人の他の患者さんと比較してその後の体重増加を検討しています(ちなみに抗うつ薬の使用はBMIと強く関連しており、正常体重の人では最も抗うつ薬の使用率が低く(13.9%)、BMIが45以上の人では26.5%と抗うつ薬の使用率が高かったです)。

その結果、抗うつ薬を使用して最初の1年はそこまでのリスクはないですが、内服後2-3年経った時の体重増加のリスクが最も高いという結果でした(下図)。

この中でもほとんどの抗うつ薬が体重増加のリスクがありますが、ミルタザピン(リフレックス)が率比1.50 (1.45 – 1.56)と他と比較して群を抜いてリスクが高いです(下図)。他の抗うつ薬は率比が1ちょいということで、そこまで体重増加のリスクは高くないかもしれません。

ちなみに内服の用量との関係ですが、これはここでは情報が得られなかったとなってわからなかったそうです。過去のメタ解析でも用量との関係は記載されていなかったので今後の課題でしょうか(Serretti 2010)。また、うつ病に処方された場合が9割ほどだそうですが、強迫性障害や不安障害など他の病気にも抗うつ薬は使用されるため病気による影響も考えないといけませんがここでは考慮されていません。うつ病のみを考えてもうつ病自体、食欲不振という症状もあるため、病気がよくなることで食欲が戻って体重に影響したということは今後考えないといけないですね。

Dr.おもち
Dr.おもち
ただ、これまでの報告からもどの抗うつ薬でも体重増加のリスクがあり、特に2-3年以内のリスクが高いため注意が必要です。

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