精神医学情報

運動はうつ病に有効か

運動はうつ病といった精神疾患にいいから是非しましょう!という話はよく聞くと思います。通院されている人は精神科の外来でもそのような話を言われたことがある人も多いのではないでしょうか?

では、本当に運動はうつ病などにいいの?何でそんなことが言えるの?という疑問はあります。

おそらく多くの医療者でさえもその情報がどこから来ているのかよくわからないという人が大半ではないでしょうか?

結論から言うと「運動はうつ病などの精神疾患に効果がある」ということは言えそうなのですが、今回はその根拠となっている研究を紹介します。

運動とうつ病との関連をみたメタ解析を紹介します(Kvam 2016)。これは、23個の研究(合計977名)を対象としたもので運動はうつ病に効果がるという結果になりました。効果量は−0.68 (95% CI =−0.92 to −0.44, p<0.001)なので、そこそこ効果は大きいですね。

この中で、運動をした場合とカウンセリングなどの精神療法をした場合とを比較して、どちらがうつ病に効果があるかをみた場合(3個の研究、79名)、差はありませんでした。−0.22 (95% CI=−0.65 to0.21, p=.31)。これはつまり今のところうつ病の治療に対してカウンセリングをしても運動をしてもどちらが有効かは今のところは言えないということです。

次に、運動と抗うつ薬を組み合わせた場合と抗うつ薬のみを使用した場合を比較すると(4個の研究、188名)、こちらも差はなかったです−0.50 (95% CI=−1.10 to 0.11, p=.11)。これは抗うつ薬のみでいいのか、さらに抗うつ薬を飲んだ上で運動もしたらいいのかに関しては今のところ運動もしたほうがいいかはわからないという結果です。これらは研究が少ないので今後に期待です。

では、個別の研究を紹介します。

Blumenthalは50歳以上のうつ病の方に週3回のウォーキングやジョギングを4ヶ月行なったところ、抑うつ症状の改善が認められたようです(Blumenthal 1999)。また、Matherは抗うつ薬で改善が認められなかたうつ病の方に対して10週間の音楽に合わせた運動を行なったところ抑うつ症状の改善が認められたようです(Mather 2004)。

他にヨガがうつや不安の症状に対しても効果があるというエビデンスもありますね(Cramer H 2013)。

前向き研究ではなくアンケート調査ですが、アメリカの約120万人以上を対象としたかなり大規模な調査もあります(Chekroud SR 2018)。これによると運動をしていた人のほうがしていなかった人よりも精神的な健康が保たれていたという結果でした。どの年齢層でも効果はありそうです。

具体的にどのようなスポーツがいいかというと、下の図の上から順に精神的に不調な日を減らせるようです。特にバドミントンやバスケ、テニスなどの人気のある運動やサイクリング、エアロビ、ジョギングなどが良いみたいです。

また、運動をすればするほどいいわけではなく、U字型で1回の運動で30-60分ほどを週に3-5回がいいようです。逆に月に23回以上、または1回あたりの運動時間が90分を超えると精神状態は悪化するようです。やり過ぎはよくないのですね。

ここではうつ病の既往があった人を分けて解析もしていますが、それも同様の結果となっており運動の良い効果が報告されています。

Dr.おもち
Dr.おもち
このように、運動はメンタルヘルスに有効であることがわかっています。特に週3-5回を30-60分程度のものがいいようです。ただまだまだ研究の数が少ないので今後に期待ですね。

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