精神医学情報

冬季うつには光療法がおすすめ

こんにちは!

冬季うつ、という言葉をご存じでしょうか?

夏が終わり秋になり、過ごしやすくなるとともに日が短くなりだす頃。
なんとなく鬱々として気分が晴れない、落ち込むような感覚になるという方がいらっしゃいます。症状が続き、日常生活に支障がでてくる場合も多いんですよ。

症状

特にみられる症状としては

  • 気分が落ち込む
  • やる気がおきない
  • 疲れやすい
  • 集中できない
  • 自分を必要以上に責めてしまう
  • 過食になる(←季節性うつに多い!)
  • 過眠になる(←季節性うつに多い!)

などがあげられます。

甘いものが食べても食べてもやめられない!

寝ても寝ても眠い!

ありませんか?

これは決して気のせいなどではなく、季節性感情障害(SAD)という病気からくる症状なのです。SADの有病率は、緯度に応じて1.5%から9%の範囲内だそうです。

季節の変わり目、特に日照時間が短くなる秋や冬に多く見られることから”季節性うつ”、”冬季うつ”など様々な呼ばれ方があります。
国や地域によって特徴がありますが、多くの国においては日照時間が短くなる10月~11月に発症し、日照時間が長くなる3月頃に回復する、といった具合で、これを毎年繰り返します。

「私自身ヨーロッパに留学していた際、冬場はなんとなく気分がふさぎがちになり、うつうつとしていました。やっと明るくなったかと思うと、あっという間に日が暮れてしまい、お天気も悪い、気分も暗い、、、とってもストレスでした。チョコレートを食べ過ぎてしまう、というのもよくありましたね。でも、こんな症状も4月くらいに気候が安定してくると、ウソのように気分が楽になるんですよね。」

冬季うつ病の診断は、秋ロに悪化し、春に消えるということが2年以上続く場合、この病気と診断されます。

原因

冬は日照時間が短い上、寒くて屋内で過ごす機会が増えるため、太陽光を浴びることが少なくなります。冬季うつ病はなぜ起きるのか明確にはまだわかっていません。

ひとつは概日リズムのずれがあるのではないかと指摘されています(Agustini 2019)。冬季うつ病は、日照時間と深く関係します。通常は昼間、日光を十分に浴びると、目から脳に信号が伝わり、夜間、松果体という部分からメラトニンというホルモンが分泌されます。このホルモンは睡眠を調整し、体内時計を24時間にセットします。体内時計は自律神経やホルモン分泌などにも関与しているので、冬場に日光を浴びる量が減ってメラトニンが十分に分泌されないと、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、疲れやすい、食欲が制御できない、気力がなく落ち込む、といった抑うつ症状が出やすくなってしまう可能性があります。

セロトニンの異常も関連しているのではないかという指摘もあります。例えば脳内のセロトニントランスポーターの密度がSADでは夏と冬でその差が健常者と異なっているのではないかという指摘もあります(McMahon 2016)。セロトニンの異常によって気分が落ち込みやすく、うつの症状が出やすくなる可能性はあります。

ただ、これらの研究もまだまだ数は少なくはっきりとしたメカニズムはわかっていません。今後の研究に期待ですね。

治療

抗うつ薬などの一般的なうつ病の治療以外に人工的に光を浴びる光照射療法が有効とされています。

これは1000ルクス(平均的な室内の電気での明かりは100-300ルクスほどです)以上の光を毎朝数時間(大体30分から6時間)、器械を使って浴びるもので、自宅で行うこともでき、1〜6週間のうちに症状が改善されるとの報告もあります。

この光療法を18の研究と610人の患者を対象としたメタ解析の結果では、効果量-0.37(95%CI:-0.63~-0.12)と光療法がSADの治療に有効であったという報告がなされています(Pjrek 2020)。

また、治療ではなく予防についてはまだまだ研究の数は多くありません。数少ない研究としては、明るい光照射群では43%(6人/14人)の人がうつ病エピソードを発症したのに対し、非照射群では67%(6人/9人)の人がうつ病エピソードを発症し、予防にも有効であるという報告があります(Meesters 1999)

朝にライトを当てることで、日の出が遅くなる季節の光を補い、これによって冬季に出現してくるうつ状態を予防あるいは軽快させることもできるんですよ。

Dr.おもち
Dr.おもち
冬季うつ病には光療法がおすすめ!下に参考になる論文をいくつか載せておきました。

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