精神医学情報

アルコールを飲み過ぎると双極性障害になるよという話

アルコールと双極性障害との問題はよく精神科で遭遇します。これら2つの問題は結構かぶることがあるんですよね。そしてそれぞれがお互いの病状に悪影響を与えるため対応が厄介です。

双極性障害の躁状態でも飲酒量が増えることもあれば、飲酒をすることで躁状態を引き起こすこともしばしばです。

よく、患者さんには「お酒飲み過ぎると躁うつ病や(認知症)になるリスク増えますよ。だから気をつけてくださいね。」という説明をするのですが、これはあまり知られていません。

そのような説明をすると患者さんから「え?お酒は肝臓悪くなったり癌になったりっていう話はよく聞くけど精神的な病気にもなりやすくなるの?」と驚かれることも多いです。飲酒ではうつ症状や躁症状を長期的に発症するリスクになります。これは酔った状態じゃなくもううつ病や双極性障害になってしまうということなんですよね。

今回はアルコールが双極性障害につながる方はどんな特徴があるのかという研究を紹介します。まずは平均年齢43歳の双極性障害1型の方1090名に対する調査です(Azorin 2017)。

この調査では1090名の中で約6.6%にあたる72例においてアルコールによる問題が最初にあってその後に双極性障害を発症していました。

このアルコールの問題から始まる双極性障害の場合はより遅い年齢で発症(平均31歳)であり、また、抑うつ的であることから始まることが特徴のようです。なので、比較的遅い年齢での発症の双極性障害はアルコールによる影響を考えてもいいかもしれないですね。一般的に双極性障害は10代から20代で発症するとされています。

ちなみにここでは双極性障害にフォーカスしていますが、双極性障害のみではなく抑うつ症状のみに関してもアルコールが抑うつ症状を引き起こすのではないかとも言われています(Schuckit 2013; Fergusson 2009)。

あとはアルコールから始まる双極性障害では急速交代型も14.2%と多いようです。急速交代型とは1年に4回以上気分の変動がある双極性障害のことです。

また、別の有名な研究では、アルコールから始まる双極性障害のその後の転帰についての144名を対象として観察しています(Strakowski 2005)。ここでは、144人の患者のうち61人(42%)がアルコール乱用または依存症を併発しており、そのうち27人(19%)はアルコール使用障害が双極性障害に先行、その逆は34人(24%)だったようです。なお、こちらでもアルコールが先行した場合は有意に発症年齢が遅かったとされています。

アルコール先行群では妄想などの精神病症状を伴っていた率が高いことや断酒を維持すると双極性障害の改善スピードが早いことが特徴となっていました。

これらからアルコールの飲み過ぎで双極性障害になった場合は、比較的発症が遅かったり、急速交代型であったり、精神病症状を認めることがあることがわかります。また、断酒をすると改善も比較的早いようです。

一方でアルコールの問題と双極性障害が重なると自殺率が高かったり薬物治療にも反応しにくかったりするなどといった欠点もあるようです。

Dr.おもち
Dr.おもち
以前アルコールは認知症のリスクを高くすると書きました(下記)。認知症以外にも双極性障害やうつ病のリスクも高くしてしまうため、お酒は程々にしておいた方が良さそうです。

飲酒と認知症の関連は? 【質問No13】 飲酒は認知症になりやすいのですか?外来でこのままお酒を飲み続けると認知症になる危険性もあると言われました。ただ...

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