質問No.27:睡眠薬は骨折のリスクになりますか?
高齢者では睡眠薬は骨折のリスクも上がるため使用しない方がいいという話を聞きました。睡眠薬を使っていると骨折は起こりやすくなるのでしょうか?
回答
睡眠薬は高齢者の骨折特に大腿骨頸部骨折のリスクを上げると言われています。
大腿骨頸部骨折は高齢者で比較的起こりやすい骨折であり寝たきりになってしまう原因でもあるため非常に重要になっています。また、高齢だと手術を行えない場合もあり、生活に直結しています。
有名な研究では、大腿骨頸部骨折の高齢者1222人と比較患者4888人を対象とした所、睡眠薬であるベンゾジアゼピン系薬剤を中等度の量以上(ジアゼパム換算で3mg以上)でも使用すると、骨折のリスクが50%ほど高くなるとされています(Wang 2001)。
ただ、ジアゼパムやクロナゼパムのような長時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤では他に比べるとリスクは少し低かったので使うとしても長時間作用型が良さそうです。
特に使い始めてあまり体が慣れていない2週間以内には骨折は起こりやすく、また逆に長く使いすぎてもダメなようです。
この研究を含むメタ解析(Poly 2020)でも同様にベンゾジアゼピン系薬剤の使用は高齢者の大腿骨頸部骨折のリスクを上げるようです。大腿骨骨折の症例169660例の33の研究を対象としています。
ベンゾジアゼピン系薬剤を使用すると大腿骨骨折のリスク比は1.34(95%CI:1.26~1.44)で高かったそうです。またやはり短時間作用型の方がリスクが高く、リスク比は1.31(95%CI:1.18~1.45、P<0.0001)で、長時間作用型は1.15(95%CI:1.08~1.22、P<0.0001)となっていました。
