以前、新型コロナ(COVID-19)感染者への早期治療にSSRIという抗うつ薬のひとつであるルボックス(フルボキサミン)がいいのではないかというワシントン大学の研究を紹介しました。

そこではフルボキサミンを投与した場合では80例中0例、プラセボ群では72例中6例(8.3%)に呼吸症状の悪化が認められたという結果でした。
今回はそれとは別の研究で、同様にルボックス(フルボキサミン)が新型コロナ感染者の重症化予防にいいのではないかという報告がカリフォルニアのグループからありましたのでご紹介です(Seftel 2021)。
この観察ではカリフォルニア州の競馬場で起こったクラスター113名の感染者の方を対象にしています。参加者の年齢は平均42歳(33-56歳)の65人がフルボキサミンを投与(1日2回、合計50mg)、48人が治療無しでその後症状の増悪がないかを14日間経過を見ました。
フルボキサミン投与群は最初無症状であった方が38%と少なく、治療無し群は58%とやや多いといった違いがありました。
また全体の30%の方が何らかの基礎疾患があり、糖尿病がフルボキサミン投与群17%・治療無し群8%であり、高血圧はフルボキサミン投与群17%・治療無し群35%でした。
その後症状が悪化して入院が必要となった数ですが、なんとフルボキサミン群では0%で治療無し群は12.5%という結果でした。
14日目の時点では、治療無し群では60%ほどが何らかの症状があったのに対し、フルボキサミン投与群では症状が認められたのは0%だったようです。

まだまだ被験者数は少ないですが、以前のワシントン大学のLenzeらの研究と同様な結果ということはフルボキサミンはCOVID-19の早期治療として有望である可能性があります。
特に入院を必要とする臨床症状の悪化を防ぎ、2週間を超えて症状が持続するような後遺症Long COVIDを防いでくれる可能性もあるかもしれないですね。
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