質問箱

抗うつ薬は良くなったあとも飲み続けないといけないのか?

【質問No7】

抗うつ薬はうつが治った後も飲み続けなければならないのですか?

よくなった後も飲み続けてくださいとクリニックで言われました。

【回答】

はい、うつが良くなった後も半年から1年間は抗うつ薬を飲み続けたほうがいいと思います。

抗うつ薬は再発予防の効果もあります。

うつ病の患者さんにとってうつの症状がよくなることはすごく大事なことですが、再発率の高さも実は大きな問題です。半数以上が半年以内に再発すると言われており、1年以内ではさらにその数が増えます。報告によると再発の多くが1年以内だそうです(Baldessarini, 2013)。

私が企業でメンタルヘルスの相談を受けていた際も、うつ病で休職した際に時間がたつと一時的にはよくなって復職するものの再度休職する場合も多く、人事部も困っている例がたくさんありました。もちろん本人も困っているようで一度うつ病になったあとは以前よりもうつになりやすくなっていると言う人が一定数います。

そのため、再発予防をすることは非常に大事で、改善後も引き続き抗うつ薬を続けるという方法があります。

これについては、長期治療における再発率をみたメタアナリシスがあります(Sim 2016)。これはうつ病が改善した後に治療を継続した場合としなかった場合で再発率がどのぐらいちがうのかをまとめたレビューになります。

それによると、症状改善後1年まで抗うつ薬を使用した方と薬をやめた方を追った研究があります。その研究では、改善後に治療継続した人たちの再発率が約23%だったのに対して、治療を継続しなかった人たちは43%が再発していたそうで2倍ほど違います。1年以上治療を継続した場合も同様に2倍ほど違うそうです。さらにメタ回帰分析によると、より長く継続したほうがより再発を予防できそうであることがわかります。

また、今年出たメタ解析もあります(Kato 2020)。このメタ解析ではより厳密な研究のみ組み入れています。Enrichment designという方法(治療に十分反応した人のみを組み入れてみるRCT)の研究でかつダブルブラインドで行われたもののみを見ています。

具体的には急性期のうつ病治療に反応した患者さんをそのまま同じ治療薬で継続かプラセボ群に変更かをダブルブラインドでみた研究が対象になります。40本の研究で8890人の被験者を対象としています。

その結果、プラセボに対して抗うつ薬では再発を有意に抑えられたという結果になりました(OR=0.38)。また、寛解後半年間も1年間もどちらも抗うつ薬を継続することに意味はあったそうです。寛解後に抗うつ薬を継続した場合は約80%が再発せず、プラセボの場合は60%が再発しなかったそうです。

再発率は古典的な抗うつ薬(三環系など)で25.3%、SSRIで21.8%、SNRIなどの新たなものでは16.0%という結果だったようです。

これらの報告から抗うつ薬はなるべく良くなった後も続けたほうが安全そうです。しかし、長期服用する金銭的な負担、手間、副作用などの問題も必ずしも無視できるものではないため、ここら辺は考えなければならない課題かと思います。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です