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質問No28:オルトレキシアについて

質問No28:オルトレキシアについて

女性です。病院で診断を受けたわけではありませんが自身の症状から「回避・制限性食物摂取症」「オルトレキシア」「選択的摂食」「嘔吐恐怖症」など食べることに偏りがあることを自覚ししています。

偏食になったのは9歳くらいの時です。(多分、トラウマだと思います。)成長期に食べなかった為か成長しませんでした。(身長137㎝・体重24㎏)食事以外に関してはごく普通に生活をしています。

偏食は歳を重ねることにひどくなっていますが、何故か特に血液検査では異常がなく、風邪などをひくこともほとんどないです。自分でも不思議に思っています。ただ体重はもう少し増やしたいと思っています。うまく説明出来ませんがとにかく頭で食べている感じなんです。

このような状態について何か言われているんですか?

回答

質問者さんのようにオルトレキシアという概念は存在します。ただ、DSM5などの精神科の診断基準にはまだ正式に掲載されていないため、一部でそのような概念が知られているといった程度です。最初はオルトレキシアは1997年に医師のSteven BratmanがYoga Journalに寄稿した論文で初めて発表されました。この概念は北米ではあまり知られておらず、主にヨーロッパで知られていました。Dunnらのレビューに幾つかのケースがよくまとまっているので紹介します(Dunn 2016)。

症例1

 Zamoraらの症例ではBMIが10.7の28歳の女性のケースが語られています(Zamora 2005)。14歳のときに重度のニキビを抑えるために、食事から脂肪を取り除くように言われたことをきっかけに野菜を主とした極端な食事制限を行いました。24歳の時には、卵と乳製品を除去していました。彼女には典型的な拒食症の行動やボディーイメージの歪みはなかった。

症例2

 他にもParkらは、チック症の治療のために、玄米と野菜だけに食事を制限していた30歳の男性のケースを紹介している(Park 2011)。彼は極端な食事制限で3ヵ月後には寝たきりになってしまった。同様に彼が自己認識によるボディイメージの歪みはなかったと報告している。

症例3

 Saddichhaは、果物、生野菜、非加熱の卵だけの食事を8年間続けてきた33歳の女性を報告している(Saddichha 2012)。彼女も健康に拘っておりボディーイメージの歪みはなかったとされているが、BMI14.5になったと報告されています。また、彼女は後に統合失調症を発症したとされている。

症例4

 Morozeは、3年間にわたって純粋な栄養食品にこだわり、自作のプロテインドリンクに限定されていた28歳男性について報告している(Moroze 2015)。彼は、BMI12.3という重度の栄養失調状態に陥ったようです。

どの程度の患者数がいるかについては6%-80%までと数字がかなりバラバラでまだあまりはっきりとはわかっていなそうです。

ちなみに診断基準は下記の通りのようです。基準A-Dまでを全て満たすとオルトレキシアと診断されるようです。

基準A.健康食品を食べることへの執着(以下のうち2つ以上)

  1. 食品の成分に拘りすぎて栄養バランスを欠いている。
  2. 様々な成分が含まれている食品が健康被害へ与える影響を過度に不安視してい
  3. 防腐剤や添加物など不健康と考える食品を極端に避けること。
  4. 1日3時間以上など食品に対する書物を読みあさったり、調理に異様に拘り長時間かけたりする。
  5. 不健康な食品を摂取した後の罪悪感がある。
  6. 他人の食に対して不寛容である
  7. 収入に比べて過剰な金額を食品に費やす。

基準B. 強迫観念的な先入観は、以下のいずれかによって障害となる。

  1. 栄養バランスの乱れによる健康被害
  2. 食事に過度に固執することで社会的、学業的または職業的機能が妨げられる

基準C. それは強迫性障害やその他の障害、または統合失調症などの精神病性障害の症状の増悪ではない。

基準D. 宗教やアレルギーなどによるものではない。

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