精神医学情報

アンナO嬢について(精神分析)

アンナO嬢の症例は精神分析が生まれるきっかけになった症例でありJ.ブロイアーによって1880年から1882年まで治療された非常に有名な人である。

まずこの症例がどのような症例についてか簡単に以下にまとめる。

アンナO嬢(J.ブロイアー)

発病時21歳(1880)

家族には精神病のものが何人か。明敏な総合力と直感力。恋愛経験なし。常に白日夢を見ていた。

・潜伏期5ヶ月(1880.7~12)

・顕在的発病:特有の精神病、錯語、内斜視、重篤な視覚障害、右上肢および両下肢の完全な拘縮性麻痺、左上肢の不完全な拘縮性麻痺、首の筋肉の不全麻痺。日中、心神喪失となって幻覚に追い回され、夜は精神的に全く明晰であった。いくつかは改善したが1881.4の父親の死によって中断、死のあと2日間深い昏迷。その後、持続的な夢遊状態。彼女が言うまいとしていた心の闇を指摘した時に症状やや改善、1882.6までに次第に様々な状態や現象は消退していく。潜伏期の出来事が症状のすべてを起こしておりこれらを語りつくした時に症状が消失した。

以上であるが、この症例のポイントを簡単にまとめると自分では意識していない無意識の部分に心の闇があり、それを意識し言語化したことで症状が改善したというものである。

すんなりと書かれているが実際にこれをしようとすると非常に難しい。

外来を行なっていると、症状の原因となっているであろう無意識となっている過去の出来事を掘り下げていき、それを言語化することは非常に困難である。無意識を探っていくので本人は意識していないし、記憶にないような出来事かもしれず当然一筋縄ではいかない。精神分析は長い時間をかけて行うが、現在の精神科の外来はほとんどが一人10分ほどとなっており中々そのような時間も取れない。

精神分析は時間をかけ患者さんの話を粘り強く聞き続けていくという治療法が基本なのである。残念ながら科学的な証明も難しいことやこのように非常に時間がかかる治療であるゆえ、精神分析は現在下火となっている。精神分析は週4回50分面接を行うといった大変時間のかかる作業である事も下火になっている理由のひとつではないだろうか。

もちろん現在この治療法がないわけではない。ただ非常に時間がかかる治療法で受ける側も1回1万円前後と高額である(有名な先生の場合はより高い)。これをアンナO嬢のように2年近くかけて治療を行うとなると300万円以上かかってしまう。

ただ、精神分析は下火ではあるものの治療の選択肢のひとつとしては素晴らしいものであるし、現在も精神分析を行なっている治療者はいる。興味と金銭的な余裕のある人は受けてみるといいかもしれない。

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