精神医学情報

大麻はうつや不安に効果あり?

以前、大麻が実際リスクあるのかどうかについて述べました。

大麻は安全なのか、リスクについて ここ最近、いくつかの国で大麻が合法化されたこともあり、大麻を日本でも合法にしたらいいのでは?というような話をしばしば耳にします。日本...

今回は前回とは逆に「まあリスクがあっても治療効果が強くあればいいんじゃない?だって副作用がゼロの薬はないでしょ。だから少しぐらいリスクがあっても病気の症状が改善するならいいんじゃない」という意見もあるだろうと思い、その大麻の効用に特化して書いていきたいと思います。

今回は大麻の効用の中でも特に不安やうつといった精神的な部分についてフォーカスを当てたいと思います。なので、テーマとしては、「医療用大麻(主要成分であるTHCやCBD等を含む)は精神疾患の治療に効果があるの?」という点です。

医療用大麻についての治療効果に関する比較的新しい報告がありました。これは2019年12月にLancet Psychiatryで報告された精神疾患に大麻(主成分であるTHCやCBD)が有効であるかどうかをみたレビューです(Black 2019)。

①うつ病について

11件の研究(被験者数1656人)をみた結果、有意にうつ症状を改善させるという結果はありませんでした(SMD-0.05 [95%CI–0.20 to 0.11])。

②不安症状について

7件の研究(被験者数252人)をみた結果、これはやや効果ありとなっていました(SMD -0.25 [95% CI -0.49 to -0.1])。ただ、3つのランダム化比較試験が実際行われてはいたもののデータが不十分で解析に入れられていませんでした。この3つのうち2つは有意に改善していなかったのでこれらの研究を含めたら医療用大麻の不安に対する効果は有意ではなかったと論文では述べられています。

③ADHDについて

ADHDについて1件(被験者数30人)のみの研究だったのでまだまだですが、この1件の研究では効果なしでした。

④トゥレット症候群について

トゥレット症候群について2件(被験者数41人)のみの研究ですがこちらも効果なしでした。

⑤PTSDについて

PTSDについては1件(被験者数19人)を対象とした研究でこちらは症状の改善はないどころか悪化させてしまったといった結果です。

⑥精神病症状について

妄想や幻覚といった精神病症状についてです。こちらは1件(被験者数24人)の研究を対象としたところ症状の改善は認められませんでした。

と言ったものです。結論を言うと、現時点ではほとんど効果がないと言って良さそうです。。ただRCTや二重盲検法と言った信頼できるエビデンスの研究はほとんど含まれていなかったためこれのみでは結論づけられないなと思います。と言っても、結果はあまり芳しくないので、しっかりとした研究デザインで行ってもかなり有望かと言うとそうでもないような気もしますが。。

いずれにせよ判断するには今後のしっかりとしたデザインの研究が必要でしょう。

また、この論文内では次のようなことも述べられています。過去の研究では大麻の使用が急性精神病を増悪させるとしている(Henquet 2006)。さらに、大麻を長期間にわたって毎日使用する若年の成人(うつ病、不安、精神病のリスクが最も高い年齢層)は、依存症を発症するリスクがあるという(WHO. The health and social effects of nonmedical cannabis use. Geneva: World Health Organization, 2016.)。

さらに2020年の同じくLancet psychiatryの報告ではTHCの単回投与は、かなり高い効果量で精神病症状を誘発すると報告しています(Hindley 2020)。

これらを見るとやはり精神疾患に対しては大麻の治療効果よりマイナスポイントの方が大きそうですね。

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